突然、視界がぼやける・かすむのは一時的なもの？
視界がぼやける・かすむ症状は、徐々に症状が進行するものと、急激に進行するものに分けられます。徐々に視界がぼやけるものとしては、近視や老眼があり、徐々に視界がかすむものとしては白内障や緑内障があげられます。
一方で、急に視界がぼやける・かすむものとしては、網膜裂孔・網膜剥離、黄斑変性、急性緑内障発作などが考えられ、これらは早急な治療が必要な疾患です。
疲れ目などで一時的に視界がぼやけたりかすんだりすることもありますが、自己判断せずに受診するようにしてください。
このような症状はありませんか？
- 視界がぼやける
- 視界がかすむ
- 視界が白っぽくなる
- 光をまぶしく感じる
- 目が乾く
- 視力が低下している
- 文字が滲んで見える
- 物が二重に見える
など
片目だけ視界がぼやける場合も
視界のぼやけ・かすみは、両目で同時に起こるとは限らず、片目だけで症状が現れることもあります。このような場合は、何らかの目の疾患が原因となっているケースも考えられます。
また、片目だけ視覚障害を起こすと、もう片方の正常な目が視覚を補完するため、症状に気づきにくいことがあります。少しでも異変を感じたら、症状の程度に関わらず受診されることを推奨します。
日常生活が原因の場合
疲れ目
目を酷使することによって、目のかすみや痛み、まぶしさなどの症状の疲れ目を起こすことがあります。
疲れ目の場合は、しっかり休息を取って目と身体を休ませれば、多くの場合は改善します。一方、疲れ目を放置した結果、目の症状に加えて頭痛や肩こり、吐き気といった全身症状を伴う眼精疲労を発症した場合は、休息だけでは治りづらいため治療が必要です。
目の渇き
目が乾燥すると、一時的に視界がぼやけたり、かすんだりすることがあります。加湿器を使う、エアコンの風などが目に直接当たらないようにするなど、乾燥の原因を取り除けば、概ね症状は改善します。
一方、涙の量や質が変化することによって慢性的に目の乾きなどが生じるドライアイを発症した場合は治療が必要です。
コンタクトレンズの影響
コンタクトレンズ長時間使用すると、一時的に視界がぼやけたり、かすんだりすることがあります。コンタクトレンズは角膜を塞ぐように装用するため目の乾燥を招きやすく、症状が続く場合にはメガネへ変更するなどの対応が必要になります。
疾患が原因の場合
白内障
白内障とは、加齢などが原因で水晶体が白く濁る疾患です。早い人は40歳くらいで発症し、80歳以上になるとほとんどの方が発症します。
主な症状としては、視界のかすみやぼやけ、視力の低下、光をまぶしく感じる、物が二重に見えるなどがあげられます。
白内障は初期症状がほとんどないために気付きづらく、定期的に検査を行うことが、早期発見に繋がります。
緑内障
緑内障とは、視神経に障害が起きることで様々な視覚障害を及ぼす疾患です。発症すると、視野が狭くなる、視野が欠損する、視力が低下するといった症状に加え、視野のかすみなどを起こすことがあります。長期間放置すると、最悪の場合には失明に至る可能性もあるため、注意が必要です。
また、中には急激な目の痛みや吐き気、嘔吐、頭痛、視力低下などを引き起こす急性緑内障発作を起こすこともあり、その際には緊急治療が必要になります。
加齢黄斑変性
加齢黄斑変性とは、その名の通り加齢とともに網膜の中心にある黄斑にむくみや出血などの症状を起こす疾患です。発症すると、視界が歪む、視界の中心が見えにくい、視力が低下するなどの症状を引き起こします。進行すると視界の中心が暗転し、見えなくなります。
糖尿病網膜症
糖尿病網膜症とは、インスリンの機能や分泌量が低下することで、食後の血糖値が低下しづらくなる糖尿病の合併症の一つです。糖尿病と診断されてから数年が経過したのちに発症することが多く、徐々に視力の低下や視野のかすみなどの症状が現れます。その後、硝子体出血を起こすと、急激な視力低下を伴うようになります。
ぶどう膜炎
ぶどう膜炎とは、光量を調整する虹彩、ピントを調整する毛様体、網膜に栄養を運搬する脈絡膜で構成されるぶどう膜が炎症を起こした状態の疾患です。発症すると、視界がかすむ、光をまぶしく感じる、目が痛む、目が充血する、飛蚊症などの症状を引き起こします。
網膜裂孔・網膜剥離
網膜裂孔・網膜剥離とは、網膜が異常を起こした疾患で、網膜に穴や裂け目ができた状態が網膜裂孔、網膜が剥がれた状態が網膜剥離となります。いずれも発症すると、光のまぶしさや飛蚊症などの症状が現れます。また、網膜剥離の場合は、進行すると視力低下、視野の欠損などを引き起こし、さらに進行すると最終的には失明に至ります。
眼精疲労
眼精疲労とは、目の疲れや痛みに加え、頭痛や肩こり、吐き気などの全身症状を引き起こす疾患です。主な原因は目の酷使やストレスなどになりますが、近視・遠視・乱視といった屈折異常が原因で発症することもあります。
視界がぼやける・かすむ場合の対処法
目・身体を休める
視界のぼやけやかすみが目や身体の疲労による場合は、しっかりと休息を取って目と身体を休めることが大切です。
対処法としては、ホットタオルで目の周囲を温める、マッサージをするといった方法が有効です。また、紫外線による目のダメージを抑制するため、外出時にはサングラスや帽子、日傘を使うなどの配慮も有効です。
環境を改善する
目の乾燥を防ぐために、加湿器を使用したり暖房器具をエアコンから電気ストーブに替えるなどして、部屋の湿度を保つようにしましょう。また、長時間のパソコン作業を行う際には、適度に休憩を取る、モニターとの距離を保つといった配慮も有効です。
コンタクトレンズを正しく装用する・メガネに替える
コンタクトレンズの不適切な使用は、目のかすみやぼやけを引き起こすため、適切に使用するようにしましょう。それでも症状が改善しない場合には、メガネへ変更することも大切です。
点眼薬を使用する
疲れ目や目の乾きなどを改善する方法として、点眼薬の使用は有効です。点眼薬を選ぶ際には、防腐剤を含まないタイプにするようにしましょう。
視界がぼやけたり、視界のかすみはご相談ください
視界のぼやけやかすみ症状が起きた場合、その日のうちや翌日に改善する程度でしたら基本的にそれほど心配する必要はありません。その際には、しっかりと目や身体を休めることを心がけ、改善に努めましょう。
一方で、ぼやけやかすみ症状が何日も継続して起きている場合や、症状が急激に悪化した場合には、できるだけ早期に受診してください。中には、白内障や緑内障のように自覚症状が乏しく、自身ではなかなか気付きづらい疾患もあります。何か目の違和感を覚えたら、念のために受診しておくと安心です。